9月1週目を終えてもまだまだ暑いですね。残暑とはいえ真夏同然。昨年は秋が駆け足でやってきた覚えがあるのですが、今年は未だに日陰に入ると多少爽やかな気がする程度、ここまでくると暑さに関する記録を塗り替えられるだけ塗り替えて欲しいという気にもなってきますが、もちろん健康、人命にかかわる被害記録が更新されるのは避けたいものです。引き続き健康にご留意のうえお過ごしください。
ところで、このところ方々で立て続けに「性感染症にご注意ください」というメッセージを発信したためか、性病に関するご質問をよく受けるようになりました。その中もでクラミジアに関するご質問が多かったので、ちょっとご説明します。
クラミジアは妊婦検診で3-5%の感染者が発見されるくらい多い疾患で、私の臨床経験からしても現在最も流行している性感染症の1つと考えています。第二次大戦後学童に流行したトラホームという眼病は実はクラミジアだったものの、当時は病原体も治療法もわかりませんでした。今では原因治療をすれば問題はありませんが、感染に気づかずに日常を過ごし、目をこすったりというごく自然なしぐさをしていると、眼にも症状が現れますし、逆に目のかゆみや充血などから病気が判明することもあるくらいです。
クラミジアはクラミジア・トラコマチスという病原体による感染症で、顕微鏡では検出できない小ささですが当院で採用している核酸増幅同定検査(PCR法)では検出できます。症状は男性は尿道のかゆみ、排尿痛、粘液様の膿など代表的で比較的症状に気づきやすく、重篤な臓器への障害はありません。逆に女性には粘液様のおりものが多少増えるので痛みなどの自覚症状が殆どなく感染に気付きにくいのに、不妊症や子宮外妊娠など重篤な結果をもたらすことがままあります。その上クラミジア子宮頚管炎のある女性が分娩すると生まれてくる産児がクラミジアに感染し、結膜炎、咽頭炎、重篤な肺炎を患う可能性もありますから、男性は自分がバロメーターというくらいの気持ちで、大切なパートナーのことまで考えて適切な治療を受けていただきたいと思います。見方を変えれば、自覚のない女性と性交渉を持つからにはリスク管理はご自分でしなければならないということにもなるわけです。男女ともクラミジア感染症があるとHIV(エイズ)感染リスクが上がりますからその観点からも、とにかく治療、お早めに治療、パートナーと一緒に治療、完全に治療することをお奨めいたします。
2010年9月5日日曜日
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