2013年11月12日火曜日

木枯らしが、、、

フィリピンでは台風30号が猛威をふるったようですが、日本は先日の27号あたりから台風シーズンはひと段落しいよいよ紅葉と楽しみにしていたらいきなりのこの寒さです。ニュースでは黄紅に染まった山模様どころか雪景色の取材ばかりです。1日のちょっとした晴れ間や1週間のうちの気持ちの良い晴れの日など、ある程度の期間で季節を楽しむというより、その時、その時をきちんと噛み締めて季節を感じたいと思います。ハロウィーンやクリスマスのように文化とかかわる季節行事は意図的に演出できますが、自然は待ってくれません。ボーっとはして見逃したくはないものです、たとえ来年もまた楽しめるとしても、です。 ところで、当院での性病診療をご希望の患者様に多いご相談の一つに亀頭周辺のブツブツがあります。「フォアダイス」という性病ではないブツブツもあるのですが、性感染症のブツブツは「尖圭コンジローマ」という病気です。淋病やクラミジアといった性病と比べるとあまり知られていないのですが、このところ患者様が増えてきていることは統計的にも臨床経験上も確かと思いますので、今日は尖圭コンジローマについてちょっと書いてみたいと思います。 尖圭コンジローマの原因ヒトパピローマウィルス(HPV)は主にセックスを通して誰にでも感染する可能性のあるウィルスで、発症当初は痛みや痒みなどがあまりなく亀頭表面や陰茎などにごく小さいイボ状の突起が現れるのみで、見過ごす人が意外に多いようです。女性の場合は膣内の病変が多いのでより一層気づきにくく、加えて近年のコンドームの使用率低下といった要因の組み合わせで感染が広がっているのではないかと思っています。2年ほど前までは尖圭コンジローマができたらレーザー、電気メスで焼灼するか液体窒素で冷凍凝固させるといった外科的手法を用いて治療していましたが、現在では「ベセルナクリーム5%」(持田製薬)という薬が尖圭コンジローマ治療薬として承認されており、当院でもコンジローマ治療の選択肢として患者様に提供させていただいております。こちらはヒトパピローマウィルス(HPV)の増殖を抑制し、免疫能を高めウイルスに感染した細胞を障害する作用をもっており、世界75カ国以上の国と地域で使われている塗り薬で、日本性感染症学会発行の「性感染症診断・治療ガイドライン」においてファーストラインに分類されている治療法でもあります。ご自分でイボに直接塗って治療することが可能ですから、治療のストレスから解放される患者様も多いことと思います。女性に感染した場合、子宮頚ガンの原因になったりと男性よりも問題が深刻です。また尖圭コンジローマを放置すると人によってはイボの数が増え陰茎がカリフラワーのようになってしまう方もいるくらいですし、陰茎がんとのかかわりも指摘されています。早期発見ならベセルナクリームによる薬療法で治る可能性が大いにあるわけですから、治療の敷居はそれほど高くないはずです。まずはご自分の体をよくチェックして早期に病変を自覚し(思い当たるフシのある方は特に念入りに)、少しでも気になる場合には思い切って早目に診察を受けられることをお奨めいたします。

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