2016年12月22日木曜日

梅毒流行っています!

ここ2日ほど暖かく穏やかな日中で少しほっとしています。それにしても冬の空気感ってすごくいいですね。夕陽や星空や月や朝焼けがくっきり鮮やかでとてもいいです。昨日は午後5時前に西の空がフラミンゴのような鮮やかな紅色に染まっていてそれはそれはきれいでした。 ところで、先だって開催された日本性感染症学会のシンポジウム「性器外の性感染症を検討する」で、男性間性交渉者の肛門・直腸の性感染症についての概説がありました。私も実際に診療に当たるときには、いろいろと問診をさせて頂き、時に医療とは関係ないのではないかという質問もさせて頂くことがございます。性行動に関する思い込みを排除し、詳細な問診を行うことによって症状の見落としをなくすのはとても大切なことで、本シンポジウムでもその点が強調されていました。 たとえば梅毒ですが、肛門感染では症状が非常に乏しく見落とすことがしばしばです。梅毒はTreponema pallidum(Tp)を病原体とする感染症で、2013年から国内での報告が急増し、問題視されています。前述のシンポジウムで発表をしたドクターのクリニックで2012年からTpのPCR検査を実施したところ、梅毒陽性検体105例中で検出部位は口腔が最も多く(47%)、次いでペニス(39%)、肛門(15%)、陰嚢皮(3%)、手掌(1%)の順だったそうです。注目は肛門の梅毒感染は症状が乏しいこと。特段の症状がないものの梅毒血清反応が陽性のため、全身を診察すると肛門にびらんがあるケースが少なくないそうです。当院にも同じ症例があり、当院の場合ご本人は肛門の症状についてはまったく気づいていらっしゃいませんでした。当然かもしれませんが、男性間性交渉者では肛門の梅毒病変は珍しくないのですが、本人は切れ痔などと思い、申告なさらないことが多いのです。でももし、ご本人が気づけたとしたら、梅毒の検査、確定診断の時期が早まり、より早く治療を開始できたのではないでしょうか?当院にお越しの患者様は性感染症について何等かの疑いがあるからこそいらっしゃるわけですが、症状についてはご本人なりに詳らかにされるものの、性的嗜好や風俗を利用されたかどうかといったことを隠される方がいらっしゃいます。当然のことなのですが、そのあたり僭越ながら詳しくお伺いするのはやはり重要なことですので、どうかご理解、ご容赦いただき、質問には正確にお答えをいただければと思います。