2010年1月18日月曜日

子宮頸がんを20年以上にわたりほぼ100%予防する画期的な夢のがん予防ワクチン「サーバリックス」

 当院はこれまで甲信越地域唯一の男性専門クリニックとして包茎治療・亀頭増大・長茎術等の男性泌尿器形成とED/AGA薬処方、男性の性病診療(淋菌・クラミジア感染症・尖型コンジローマなど)を専門的に行ってまいりました。ただ、性病根治の為の大原則としてパートナーとの同時治療の原則からご夫婦などのカップル受診だけは特別に女性にも御来院頂く事は他の男性患者様と完全に時間を分離してこれまでも行ってまいりました。女性の美容整形やピアスの穴あけ等のご依頼は当院のポリシーから外れるため今後もお引き受けする事は御座いませんが、私自身、子宮頸がんに侵された若い女性をこれまで何人も知っていて、若くして亡くなられたり、子供が産めない体になる等の状況を知っておりますので今回、女性外来として何でも診る訳では御座いませんが「サーバリックス接種女性専門外来」を立ち上げることにいたしました。  ついに待望のサーバリックスが、2009年12月22日にグラクソスミスクライン(GSK)から発売されたのですが、子宮頚(けい)がんという癌をご存知でしょうか?芸能人のカミングアウトで子宮頸がんであると聞いたことくらいはあるという方から、直接のお知り合いに子宮頸がんの患者様がいらっしゃるという方まで様々と思います。  子宮頸がんは近年20代後半から30代に急増、日本では年間15000人が罹患し、3500人の方が亡くなるという恐ろしい癌です。子宮頚がんは癌による死亡原因の第3位、女性特有の癌の中では乳癌に次いで第2位を占めており、20代、30代の女性に限って言えば子宮頸がんは発症するすべての癌の中で第1位となっています。  これは当院の患者様にとっても大変深刻な事態ではないでしょうか?結婚、出産、子育て適齢期のパートナーに、あるいはお嬢様の身に突然、子宮頸がんと言う災厄が降りかかることをご想像ください。  子宮頸癌はそのほぼ100%が、ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染が原因といわれています。発癌性のあるヒトパピローマウイルス(HPV)には15種類ほどの型があり中でもHPV16型とHPV18型は子宮頸癌から多く検出されるのですが、この発癌性HPVには、8割の女性が一生の間に一度は感染する、ごくごくありふれたウイルスです。  ほとんどの場合は、発癌性ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しても自然に排除されるため子宮頸癌に罹患するのは発癌性ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した女性の1%未満とされる一方で、発癌性ヒトパピローマウイルス(HPV)に自然感染しても十分に抗体価が上昇しないために同じ型のヒトパピローマウイルス(HPV)に何度も感染する可能性があるので、長期的に見てHPV感染から発ガンのリスクはもう少し高く、また発癌性ヒトパピローマウイルス(HPV)感染の可能性はすべての女性にほぼ等しくあるということが言えると思います。何よりも子宮頸がんは若年層を襲う癌であること、子宮頸がんに罹患しても幸いに死には至らなかったとしても子宮全摘などを要して子供を授かることのできない身体になるリスクという点で、これ以上恐ろしい癌はないといっても過言ではないのではないでしょうか。しかし、一方で子宮頚がんはごく最近予防できるようになった唯一の癌でもあるのです。  これまで子宮頚がんを予防するためには定期的な子宮がん検診の受診以外に効果的な方法がなかったのですが、昨年9月、日本でもヒトパピローマウイルス16型と18型に起因する子宮頸がんと、その前駆病変を予防するワクチン「サーバリックス」が承認され、同12月22日より医療機関でサーバリックスの予防接種を受けることができるようになりました。この子宮頚がん予防ワクチン「サーバリックス」は、実は2007年のオーストラリアを皮切りにすでに世界96カ国で承認されているもので、予防医学後進国の日本ではつい先月末にようやくサーバリックスの認可が下りたということになります。  サーバリックスの接種対象は「10歳以上の女性」であり、サーバリックスは早期に接種すると予防効果は大きいとされています。これから子供を持つことを考えている女性、あるいは10代の子供を持つご両親にとって、子宮頚がん予防ワクチン「サーバリックス」は重要なワクチンです。  子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」は、普通の予防接種のように皮下注射ではなく、肩に近い腕に筋肉注射します。  サーバリックスには、今度輸入される国外産の新型インフルエンザワクチン同様、アジュバントと呼ばれる免疫増強剤が添加されております。具体的にはアルミニウム塩等ですが、アルミニウム塩を含むワクチンは皮下に注射すると副作用(発赤、硬結など)が起こりやすい理由で筋肉注射が行われます。  日本ではこれまでどこであれワクチンの筋肉注射は1974年以来禁止されておりました。その発端は1970年頃に全国的に小児科などの医院でカゼなどに対して安易にメチロン(スルピリン)と言う劇薬と抗生剤(クロラムフェニコール)を大腿四頭筋に注射したために「大腿四頭筋短縮症」が多くの子ども患者さんに起こり、社会問題化して大きく報道され訴訟になった為だそうです。山梨県のある町で当初「筋短縮症」は集団発生したため山梨県の風土病ではないかと疑われたそうです。そのような経緯もあって特に山梨県内では40歳代以上のお母様方の中には筋肉注射に対して強い抵抗感がある方も居られるのではないかと思います。しかし現在の筋肉注射用のワクチン製剤は筋肉に対する毒性やpHや浸透圧が考慮されたものになっておりますので昔のような状況にはならないと考えております。  ただ、筋肉注射は略して「筋注」と呼ばれ一般的な診療所や病院でも基本的には看護婦さんが行っているのが実情です。これまで小児のワクチンなどでは禁止されていたこともあり、皮下注射の延長程度の認識で神経や血管の解剖学的な走行や筋肉と皮下脂肪の厚さを考慮しない慣れていない看護婦さんに安易に「筋注」されると腋窩神経三角筋枝や橈骨神経、後上腕回旋動脈などを誤穿刺して神経障害等を引き起こす可能性があり、一般的にも筋肉注射後は疼痛・脱力感・しこりなどの症状が比較的長い期間残る事があります。当院では神経や血管の解剖学的走行の知識に基づいて、接種対象者の体格、年齢、皮下脂肪の厚さや筋肉の厚さ等を考慮した上で最も障害が発生しにくい部位と深さに私自身(医師)が注射いたします。  サーバリックスは1~2回の接種では十分な抗体ができないため、半年の間に3回の接種が必要となり、サーバリックスの接種期間の途中で妊娠した際には、その後のサーバリックスの接種は見合わせることとされています。また、サーバリックスのような予防のためのワクチンは現行制度上は医療保険の適用を受けないためサーバリックス接種費用は全額自己負担となってしまいます。価格が高いのと皮下注射よりも痛い筋肉注射と言うことだけが難点ですが、サーバリックスの効果は20年以上継続しますのでその費用は安いとも考えられます。  一連のサーバリックスの接種で、20年以上子宮頸がん予防効果が継続し、12歳の女児全員がサーバリックスを接種すれば、子宮頸がんにかかる人を73.1%減らすことができ、子宮頸がんによる死亡者も73.2%減るとの推計もあります。  昨年来多数の方から子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」のお問い合わせやご要望を承ったこともあり、種々検討させていただいた結果、当院では山梨県内においては他院に先駆け、サーバリックスの接種を開始いたします。費用は消費税込で1回1万5千円を予定しております。当院はメンズクリニックではございますが、サーバリックス接種のためだけに女性専用日および女性専用時間帯を設けて完全分離して診察させていただきます。  ご予約時間につきましては、オンデマンドで検討いたしますが、夜間早朝あるいは休日にも承っております。土日などの休日診療・平日夜間診療・祝日の診療で子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」を山梨県内で価格的に最も安い費用で接種するクリニックを目指します。  いずれにいたしましても、これまでどおり男女問わず患者様お1人お1人のプライバシーを最大限尊重してまいりますので、安心してお問い合わせ、ご来院いただきたいと思います。なお、お手数おかけし恐縮ですが、お問い合わせはメールにてお願い申し上げます。 このブログを読まれた男性の方はどうぞ身近の女性に子宮頚癌予防ワクチン「サーバリックス」をご紹介いただければと思います。命にかかわる問題です。この先20年以上の安心を得られるのであれば、予防接種にかかる費用は決して高くはないものと思います。

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